賢者のワイン

2026/03/15 15:09

今月も、店番が渾身の選定により、素晴らしいワインをお届けしました。

赤は、ルーマニアの伝説になるかもしれない醸造家の作品です。
ルーマニアのワイン業界は、カベルネやシャルドネを一生懸命作れば、フランス人には見向きもされなくても、日米なら買ってくれると喜んでいます。そこで、土着品種への拘泥を改めて、フランスの主要品種に注力したところ、非常に高品質のワインができました。その苦節20年があって、このように再び土着品種をメインに据えたワインが登場することになりました。土着品種だけで造ったワインも、もはや20年前のような辺境っぽさはなくなりつつありますが、このワインのようにカベルネやメルロをブレンドすることで、うまく仕上げています。このワインは、キレイな口当たりに驚いているうちに、凝縮感のあるパワーが出現して、全体を都会的なセンスでまとめてあります。オールド世代の愛好家にも十分好評を博すと思います。国名を隠して飲めば、国際水準の品質に感じ入っていただけるはずです。

白は、イタリアの土着品種ペコリーノです。ながらくワイン造りには使われていなかったものを、1980年代に復活させてから、アドリア海側を中心に比較的高級なワインになっています。
 最初に青い草や白い花束の香りが漂います。一口含むと、口の中からハネーの香りが膨らんで、熟した果実の風味とともに蜜のねっとりした味わいが広がっています。柔和な酸味もあるのですが、意外にも粘性を伴ったまったりとした厚めのコクが現れてきます。大変バランスがよく仕上がっています。かのロバート・パーカーが90点をつけたほか、国際オーガニックワイン賞で96点を上げています。2011年からイタリアワインの最高格付であるDOCGに昇格しています。

3本目はオレンジワインです。このワインを造った醸造家は、自らをオレンジワインを造るために生まれてきたとまでいうほどオレンジワインには一家言もあり、すばらしい作品の実績もある人です。だからではないですが、このワインは、愛好家がオレンジワインに求めたがる「えぐみ」が絶妙な度合いで出現しています。えぐみは難しい代物で、しつこければワインだけではなく一緒に食べた料理まで台無しにしてしまいますから、塩梅がことのほか致命的になります。このワインでは、引き際の美学が傑出しています。いつまでもダラダラと残りません。ブラック企業の上司に当ってしまうガチャが若手勤労者の最大のリスクだそうですが、そういうオジサンのようなくどさが微塵もありません。この「エグミがあるのに潔い」ところがこのワインの白眉です。

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